インタビュー

甲藤 英明
甲藤 英明
大川上美良布神社/宮司
大川上美良布神社/宮司
やなせ先生からいただいた力と神様の力を合わせて幸せを
広げていきたい
広げていきたい

香美市香北町にあり、「川上様」の愛称で呼ばれている【大川上美良布神社】。ここにはやなせさんが神社のために描きおろした絵馬が奉納され、さらに十二支のキャラクターが御守りなどになっています。それらはどんなきっかけで誕生したのでしょうか? 当時のことを知る甲藤英明 宮司にお話をうかがいました。
やなせさんと最初に対面されたときのことを教えてください。
今から25年以上前、神社のすぐ近くにアンパンマンミュージアムと詩とメルヘン絵本館が完成し、その竣工式を私が執り行ったのですが、そこにやなせ先生がいらっしゃったのが最初の出会いです。
式の後、町内で開かれたパーティー会場へ行くと、みんな話をしたいからと、やなせ先生の前に大行列ができていました。私も列に並び、ひと言だけでもご挨拶ができればと思っていたのですが、順番になるとやなせ先生から「(祝詞について)ありがたい言葉を言ってくれたんだろうけど、さっぱり分からなかったよ!」と、緊張がほぐれるような言葉をかけていただきました。
それから「神社もリニューアルしましょうよ! 伝統も大事にしながら、これからは子ども達にたくさん来てもらえる神社にしていこう」と励ましていただきまして、私の後ろの行列がどんどん長くなっていくくらい、たくさんお話をさせていただきました。
式の後、町内で開かれたパーティー会場へ行くと、みんな話をしたいからと、やなせ先生の前に大行列ができていました。私も列に並び、ひと言だけでもご挨拶ができればと思っていたのですが、順番になるとやなせ先生から「(祝詞について)ありがたい言葉を言ってくれたんだろうけど、さっぱり分からなかったよ!」と、緊張がほぐれるような言葉をかけていただきました。
それから「神社もリニューアルしましょうよ! 伝統も大事にしながら、これからは子ども達にたくさん来てもらえる神社にしていこう」と励ましていただきまして、私の後ろの行列がどんどん長くなっていくくらい、たくさんお話をさせていただきました。
やなせさんとの思い出のなかで、特に心に残っていることはありますか?
パーティーの後、子ども達に来てもらえる神社にするためにはどうしたらよいかと考え、やなせ先生にアンパンマンの絵馬や御守りを描いていただけないかお願いしてみることにしました。
直接お願いするのに手ぶらではいけませんので、奮発して高級メロン2玉入りを買いました。それともう一つ、私の友人が「やなせ先生は少年時代、南国市で暮らしていたからこのまんじゅうもいいんじゃないか」と、南国市に古くからある『へんろ石まんじゅう』を買ってきてくれました。
東京にある先生のスタジオにおじゃまし、まずはメロンをお渡しして「アンパンマンの絵馬か御守りを描いていただけませんか?」とお願いしたところ、やなせ先生は困った表情になって、「アンパンマンは自分だけのものではないから…」と、絵本やアニメなどに関わる複数の会社さんが著作権を守っていることを教えてくださいました。これは難しいな…と私も諦めの境地になりました。
しかしやなせ先生は「何か別のものを考えてみるよ」とおっしゃってくださいまして、私は帰ることにしたのですが…ふと、『へんろ石まんじゅう』をお渡ししていないことに気づいたんです。 やなせ先生に「こちらもどうぞ」と差し出した瞬間、先生は「えっ!」と驚いて、まるで子どものように包装紙をビリビリに破いて開け始めたんです。そして、まんじゅうを手に持って「子どもの頃、母が買ってくれたんだよ」と懐かしそうに眺めていました。
その時のことが今も印象に残っています。こんな一瞬で少年に返ることができる方なんだと、特別な感性をお持ちの方なんだと思いました。
後日談ですが、お願いから2ヵ月ほど経った頃、突然やなせ先生から荷物が届きまして、開けたらなんとアンパンマンの絵馬でした! すぐに香美市立やなせたかし記念館の学芸員さんに連絡を入れると飛んでこられて、大変驚かれていましたね。やなせ先生が独断で描いて送ってくださったようで…その優しさに胸が熱くなりました。
東京にある先生のスタジオにおじゃまし、まずはメロンをお渡しして「アンパンマンの絵馬か御守りを描いていただけませんか?」とお願いしたところ、やなせ先生は困った表情になって、「アンパンマンは自分だけのものではないから…」と、絵本やアニメなどに関わる複数の会社さんが著作権を守っていることを教えてくださいました。これは難しいな…と私も諦めの境地になりました。
しかしやなせ先生は「何か別のものを考えてみるよ」とおっしゃってくださいまして、私は帰ることにしたのですが…ふと、『へんろ石まんじゅう』をお渡ししていないことに気づいたんです。 やなせ先生に「こちらもどうぞ」と差し出した瞬間、先生は「えっ!」と驚いて、まるで子どものように包装紙をビリビリに破いて開け始めたんです。そして、まんじゅうを手に持って「子どもの頃、母が買ってくれたんだよ」と懐かしそうに眺めていました。
その時のことが今も印象に残っています。こんな一瞬で少年に返ることができる方なんだと、特別な感性をお持ちの方なんだと思いました。
後日談ですが、お願いから2ヵ月ほど経った頃、突然やなせ先生から荷物が届きまして、開けたらなんとアンパンマンの絵馬でした! すぐに香美市立やなせたかし記念館の学芸員さんに連絡を入れると飛んでこられて、大変驚かれていましたね。やなせ先生が独断で描いて送ってくださったようで…その優しさに胸が熱くなりました。
こちらの神社には、やなせさんが描かれた十二支のオリジナルキャラクターもいますが、誕生までにどんな物語がありましたか?
先生がお亡くなりになる3年ほど前のことです。私からやなせ先生に十二支のキャラクターを描いていただけませんかとお願いしました。ご病気を患われており、やなせ先生は「もう目が見えないから確約はできないよ」とおしゃっていましたが、その一方で、「十二支のキャラクターは描いたことがないなー」とつぶやきながら、頭の中でいろいろ考えを巡らせている様子にも見えました。やなせ先生は本当にアイデアマンだなと思いました。
それから2ヵ月ほど経って、やなせ先生が十二支のキャラクターのイラストを送ってきてくださったんです。子どもも大人も思わず笑顔になるイラストで、ひと目見た瞬間、「かわいい!これはすごい!」と感動しました。キャラクターのイラストを御守りにしまして、今も多くの参拝者に喜んでいただいております。
それから2ヵ月ほど経って、やなせ先生が十二支のキャラクターのイラストを送ってきてくださったんです。子どもも大人も思わず笑顔になるイラストで、ひと目見た瞬間、「かわいい!これはすごい!」と感動しました。キャラクターのイラストを御守りにしまして、今も多くの参拝者に喜んでいただいております。
Ⓒやなせたかし
改めてやなせさんはどんな方だったと感じますか?
ふとしたきっかけで少年になれる方です。そして、やなせ先生から生まれるアイデアは、すべて前向きだと思いました。周りで聞いている人まで楽しくなってくるんです。まさに“クリエイター”だと思います。
今、やなせさんにどんな思いがありますか? また、これからどんな神社にしていきたいですか?
当神社のように地域にある神社は長い歴史のなかで祭事を繋ぎ、地域にとって欠かせない役割を担ってきたと思います。一方で、地域の人口はどんどん減少し、神社を守る氏子さんも少なくなっています。存続の危機にある神社も少なくありませんが、そうしたなかで、やなせ先生が残してくださった絵馬や十二支のキャラクターは、当神社にとって大きな力となっています。
また、やなせ先生がお亡くなりになってからのことですが、地域内外の人に集まっていただきたいという思いを、やなせ先生が会長を務められていた日本漫画家協会様にお伝えしたところ、所属されている漫画家の先生方が「やなせ先生の故郷のために」と天井絵を描いてくださいました。描いてくださった先生方への感謝はもちろんのこと、これもやなせ先生が繋いでくださったご縁ですから、やなせ先生への感謝の気持ちでいっぱいです。
みなさまからいただいた力を糧に、これからも地域の神社としての役目を務めながら、地域外の皆さんにも気軽に参拝していただける神社を目指していきたいです。
やなせ先生とその作品を愛するみなさんをはじめ、漫画家などを目指す若いクリエイターのみなさんにもご参拝いただけるとうれしいですね。
そして、やなせ先生からいただいた力と神様の力を合わせて、幸せを広げていきたいです。
また、やなせ先生がお亡くなりになってからのことですが、地域内外の人に集まっていただきたいという思いを、やなせ先生が会長を務められていた日本漫画家協会様にお伝えしたところ、所属されている漫画家の先生方が「やなせ先生の故郷のために」と天井絵を描いてくださいました。描いてくださった先生方への感謝はもちろんのこと、これもやなせ先生が繋いでくださったご縁ですから、やなせ先生への感謝の気持ちでいっぱいです。
みなさまからいただいた力を糧に、これからも地域の神社としての役目を務めながら、地域外の皆さんにも気軽に参拝していただける神社を目指していきたいです。
やなせ先生とその作品を愛するみなさんをはじめ、漫画家などを目指す若いクリエイターのみなさんにもご参拝いただけるとうれしいですね。
そして、やなせ先生からいただいた力と神様の力を合わせて、幸せを広げていきたいです。
Ⓒやなせたかし
社殿と社務所を繋ぐ廊下には、十二支のキャラクターの巨大絵馬が飾られている。
【大川上美良布神社】
高知県香美市香北町韮生野243
電話 0887-59-2878
※祭事で留守にする場合もあります。絵馬や天井絵をご覧になりたい方は事前にお電話ください。
御守りのオンライン授与 https://shop.birahujinja.jp(外部サイトへ)
高知県香美市香北町韮生野243
電話 0887-59-2878
※祭事で留守にする場合もあります。絵馬や天井絵をご覧になりたい方は事前にお電話ください。
御守りのオンライン授与 https://shop.birahujinja.jp(外部サイトへ)